マスターから製品製作(量産型)

「マスター」とは原型。
原型を作る為にはウレタンボード、パテ、角木、コンパネ、研磨剤等を使用します。
たいていの場合ノーマルPPバンパーをしっかり固定し、パテ処理、プラサフ(プライマーサフェイサー)塗布、ワックス処理の順番になります。
「ポリエステルゲルコート」
メス型の内面にパーメック(硬化剤)を添加して塗布する塗料。
製品ゲルとも言います。
空気を遮断しないと硬化しません。
メス型に塗布するもので空気硬化剤(パラフィン)が混入されていないゲルコートで、FRPの表面に塗布した場合は完全硬化しません。
FRPの上に塗布する場合は空気硬化剤を入れなければなりません。
FRP防水では「トップコート」と言い、FRPの表面の最終塗装として塗布しますが、「トップコート」には空気硬化剤(パラフィン)が入っているので表面はツルリ!と乾き、硬化します。
「積層」古い言葉では「手積み積層]とも言いますが、「張り込み」、「張る」、とか言ってガラスマットに樹脂を含ませる事です。
ポリエステル樹脂、製品用樹脂、イソ系、オルソ系樹脂とかありますが、総称ポリエステル樹脂の収縮は1000分の1で、例えばサイドステップ2m物の制作では2mピッタシのメス型を制作しても積層し、脱型後は左右合計2mm短くなると思って下さい。
樹脂では量産用に使う「積層用樹脂」、メス型制作では「ビニエステル樹脂」(メス型樹脂)の2種類がございます。
「脱型」
ワックス処理した面にFRPを積層、硬化したFRPを型等から取り出す事。
「カット」
FRPはガラスマットに樹脂を染みこませで硬化させるので単面(ふち)等が針状になっていたり非常に危険ですし、商品にする為もあり周りをきれいにします。
通常は延ばし型についている「けがき」ラインをチョークでなぞり、それを目安にディスクサンダーにてカットします。
「ナイフトリム」
延ばし型ではなく製品と同じマスターの寸法で、メス型を制作した場合に端面のガラスマットが半硬化した時点でカッターナイフで縁取りをきれいにカットする事でディスクサンダー等でガラス粉をまき散らさなく、体も汚れない利点があります。

ある車種のマスターを見てみましょう。
(1)土台になるのは12mmのコンパネや角材の組み合わせ。(日曜大工用品必要)

成形時、パテ研ぎの衝撃や移動の際にもろく崩れるようでは大変です。
例えば最終寸法のパテ盛り、プラサフ、FRP1枚等の厚み0.5〜1.0mm分を差し引いた土台、兼、初期原型を作ります。
このコンパネの間にウレタンフォーム(2液)やブロック状のウレタンをカッターで裁断し、埋め込みます。
   塗装物が溶けなければダンボールなどでも良いかと思います。
「参考」マスター完成図




()エボリューション 「HOT CLASSIC」bBフロントバンパーマスター 

制作 (有)スポーツカーズ 大橋氏  

()エボリューションhttp://www.evolution.co.jp/

メス型制作 (有)大一化学    
2004年3月量産製造部廃止に伴いメス型返却






解説

マスターは作業性と歪み等を考え、土台(足)とマスター本体が一体になり、図1では「実際の、、、」とありますが、この箇所は型と製品で大きく作り、製品の最終カットで実寸にするからです。
メス型にはこのように「伸ばし型」と実寸そのままの寸法で作る「ゲル面カット型」の2種類がございます。
横道に反れてしまうのでここでは、説明致しませんが、製品をディスクサンダーでカットする「伸ばし型」
製品が完全硬化する前にカッターでカットするのが「ゲル面カット型」とだけ思っていただければ良いかと思います。

(2)梱包用の発泡スチロールやスタイルフォームでは「ノンスチラックサフェーサー」を塗布し、FRPに侵されないよう保護します。




気温8℃ 3h硬化

「ノンスチラックサフェーサー」は3液タイプで、主剤に対し、ナフテン酸コバルト(1%)、パーメック(1%)の混合で、塗布。

発泡スチチロールは安価で購入できますが、発泡率が大きい為きめ細かい研磨が出来ないのが欠点。

硬質ウレタンボード、2液型硬質ウレタンボードではプライマーは不要。



一般の梱包剤の発泡スチロールはポリパテや、樹脂を塗布すると成分のスチレンという溶剤で溶けてしまいます。
その為に「ノンスチラックサフェーサー」を最初に塗布します。

「硬質ウレタン」の研磨は図2の「サフォーム」で研磨できますが「発泡スチロール」では不向きです。








図サフーム簡易型



(3)
コンパネ、ウレタンボードでの形状ができたらFRP1枚(450番)の積層、パテ盛りが先になるとウレタンボードの膨張縮でパテにヒビや、パテの厚い薄い箇所の発熱での歪みがでます。また、移動する際も壊れたりします。

「ワンメイク制作の方へ」
ボディー等に直接造形をするには「硬質ウレタンボード」(発泡ウレタン)をポリパテで接着し、サフォームで形を整え、FRPを1枚、パテでの面だし、塗装となります。

「ここでの材料」
「鉄ネジローラー2インチ×1」「豚毛刷毛1本」「細巻きローラー」「アセトン「パーメック「攪拌棒「型用樹脂」
「はさみ」「450番ガラスマット」1uで500g分使用します。

「ポリ容器2L」または「ポリ容器1L」「ベロペット」(スポイトです)

「ノンスチラックサフェーサー」が硬化したら120番ペーパーでサンディングして下さい。
この時に下の
発泡スチロールが見えてしまったら、その部分にもう1度ノンスチラックサフェーサーを塗布し、硬化を待ち、再度サンディングをして下さい。
サンディングが終わったらエアーブローをしてFRPを1枚(1プライ)積層しましょう。

手順
容器に固形ワックスを塗布、拭き取り。
型用樹脂を容器に入れる
パーメックを1.0%添加、攪拌
ローラーにてマスターの「ノンスチラックサフェーサー表面」に塗布。
ガラスマット300番または450番1枚をのせる。
ローラーにて型用樹脂を塗布、鉄ネジローラーにて気泡を取る。
乾燥 12H
バリ取り。足付け。60番〜120番

以上でマスターは少しは丈夫な物になりました。

4)FRPが硬化すれば土台もしっかりし、移動、成型時にサンダー等の使用も可能です。
表面はマット目でボコボコですネ。
(5)
板金パテによる成型をしましょう!。

(株)ソーラー905パテ。3.5KG(定番中の定番品。厚盛り良好、研磨性良好。)
1cmくらいの厚盛は何のその!23年前から定番のパテです。
もちろん研磨をしてからサフェーサーで最終面出しとなりますが、280番までで良いでしょう。

マスター最終用プラサフ。塗布後2時間で研磨できます。(スプレーガン塗布)


(6)HBプラサフ、又はパテサフ(ポリパテと製品用ポリエステルゲルコートを混合したもの)による最終面だし調整。
上記(ポリパテと製品用ポリエステルゲルコートを混合したもの)とは製品ゲルコート白とポリパテを任意の割合で混合し、パーメック、アセトンを添加してスプレーガンにて塗布するもので、HBプラサフよりも厚付けでき、ポリパテとプラサフを1度の作業で済ませることができます。
FRPの作業が慣れ、材料等が揃い、商品も詳しくなると色々な方法で独自の樹脂をブレンドしたりして造形物の違いによる変化にも対応できるようになります。
(7)研磨は280番以上、400以上は耐水ペーパーにて研磨、800番まで。
カーボン張り込み型の場合は1500番まで、その後両者ともポリッシャーにて微粒子コンパウンドにて研磨。
もちろん耐水ペーパーですから水を付けて研磨してくださいネ


ここから型製作に入ります。

型制作材料
「ボンリースワックス」「ポリビ」「ウエス」「型樹脂パテ」「細巻きローラー1本」「鉄ネジローラー1インチ×1」
「鉄ネジローラー2インチ×1」「豚毛刷毛2本」「アセトン」「パーメック」「攪拌棒」「型用ゲルコート」「はさみ」
「「w−77スプレーガン」「型用樹脂」450番ガラスマット1uで500g分使用します。
「ガラスマット1P分」「ガラスマット2P〜6P分」「コンパネ(補強分)」「ポリ容器2L」「ベロペット」(スポイトです)
「6mm×25mmボルト、ナット」割型にした(分割型)場合に20cm間隔に1ヶ所使う分「電機ドリル」「6mm刃」「エアーブローガン」「コンプレッサー1馬力以上」「から研ぎペーパー60番〜120番」
「プラスチックハンマー」「塩ビ波板」脱型時20〜30cm×30mmをマスターと型の間に打ち込む。
「耐水ペーパー」400〜1500番「電動ポリッシャー」「バフ」「コンパウンド」「マイナスドライバー」

8)固形ワックスをかけては拭き取り5回。
9)円を描くようにすり込む

水で1:1に希釈。むらのないよう、特に泡がでますので良くすり込み消してください。1回

※ここで型がマスターから離型できるかが問われます。
メスターの形状の凹凸の段差が大きく抜け勾配がきつい場合は原液ですり込んで下さい。
25℃では30分で乾燥します。
11)型用ゲルコートブルーをアセトンで20%希釈、パーネック1.0%、スプレーガン口径2.0〜2.5MMで塗布。
ガンが無い方は原液のままで刷毛塗りして下さい。アセトンは入れないで、刷毛で出来るだけムラのないよう塗ります。
12)乾燥 12H (25℃)
13)ガラスマット1層目の積層。
型用ビニエステル樹脂にパーメック1.0%添加。(S−432APT)
ピン角がある場合型用樹脂パテ、又はロービングを最初に用意し、付けます。


ピン角がある場合型用樹脂パテ、又はロービングを最初に用意し、張り付けます。
300番マットを1枚積層しますが、ローラーで、型用ゲルコートブルーのゲル上に上記図の樹脂パテをさけるように型用樹脂をムラなく塗り、任意の裁断したガラスマットを貼り付けると垂直面でもマットがフットして積層しやすくなります。
(樹脂パテの所にローラーが当たると樹脂パテが逃げてしまう)


このような場所はガラスマットがフィットしない為にロービングや樹脂パテを使います。
















型用樹脂を塗りローラーで大きい気泡を無くし、鉄ネジローラーで脱泡する。

積層の最初は1P(プライ)で1昼夜(12H)乾燥させます。
     パーメック配合の樹脂缶の樹脂硬化時間は50分でゲル化が始まりますので、それまで作業を終わる事
     型用、製品用樹脂は450番マット1枚 500g〜700g/u
     10m2枚の樹脂量。  1kg×10=10kg〜14kg

14)今度は2枚の積層をします。

積層の前には60番または120番ペーパーでバリを取り、削り粉はエアーブローしてください。
このバリ取りでは針先のように鋭い樹脂を含んで硬化したマットがペーパーを突き破り手や肌に突き刺さりますので要注意です。
できれば最低限軍手は必要で、皮手袋があれば良いですネ。

15)型用ビニエステル樹脂にパーメック1.0%添加。

1枚目のマットには遠慮なしに樹脂を含ませて、2枚目は1枚目の樹脂量を考えた控えめの含浸をしてください。
ローラーでなでていると、1枚目マットから2枚目マットに樹脂浮き出てくるので1枚目ほど樹脂量は必要では無く、むしろこの後の鉄ねじローラーによる脱泡作業で支障あり、また、不経済でもあります。
マットの任意裁断では、はさみで直線的にカットしても良い場合と駄目な場合があります。
直線的にカットした同士突き合わせするよりも手でガラスマットをばさばさ状態でさばいた状態をお互いに絡むように付きあわせた方が硬化した時の厚みにばらつきがなく、強度も落ちません。
慣れると2枚同時に含浸しますが、脱泡不良や含浸不良になるので自信ができてからでよいでしょう。

16)(15)の作業を繰り返し3回6P(プライ)5mmの厚みになります。
450番1層で0.75MMの厚みになります。
     硬化したらバリ取りを忘れないでください。
17)積層完成

18)裏面にコンパネを利用して台と補強を兼ねた枠を作り、FRP2枚でコンパネを包みこむ。

19)バリをディスクサンダーでカット、マスターと型ギリチョンにカット、サンディングして脱型準備。

20)型に傷を付けないようマスター端面をマイナスドライバー等で軽く押さえハンマーでたたいてみる。
21)隙間ができたらエアーブローして脱型を試みる。
エアーブローしてびくともしなければ、何カ所でパテへらの使い古しを入れハンマーで軽くたたくと、エアーブローとの併用で型が脱型できますが、これでも駄目な場合はマスターに型が巻き込んでだり、最悪の場合どこか何カ所にてマスターと型樹脂が張り付いている可能性があります。














エアーブローしてびくともしなければ、何カ所でパテへらの使い古しを入れハンマーで軽くたたくと、エアーブローとの併用で型が脱型できますが、これでも駄目な場合はマスターに型が巻き込んでだり、最悪の場合どこか何カ所にてマスターと型樹脂が張り付いている可能性があります。塩ビ波板」20〜30cm×30mmをマスターと型の間に打ち込む方法もありますが、このような場合、マスターが不必要の場合はマスターを壊し、型を生かします。

22

無事脱型ができたらマスターと型の境目にできたラインを目安にサンダー等で正確な寸法までカットします。

23

型の端面は鋭くなっていますので耐水ペーパー320番くらいで少し削ります。

24 型の内面を水洗いして、ポリビワックスを取り除きます。マスターに塗布したポリビはメス型に張り付いてくるのです。
25 マスター研磨が1500番にポリッシャーをした場合は、即、製品を作る準備ができます。
26 出来たメス型の表面が製品の肌になるわけですから良い悪いの判断をします。
27 もう少し鏡面にしたければ400〜1500で耐水ペーパーをかけ、最後にポリッシングします。

28)メス型完成。\(^o^)









マスター画像と違いますが完成したPTクルーザーF/Bメス型
()エボリューションhttp://www.evolution.co.jp/ 「HOT CLASSIC」PTクルーザー
マスター制作 (有)スポーツカーズ 大橋氏
メス型制作 (有)大一化学 




「製品製作」

さあ!いよいよ製品作りもう少しです。

材料

「ボンリースワックス」「ポリビ」「ウエス」「細巻きローラー1本」「鉄ネジローラー1インチ×1」「鉄ネジローラー2インチ×1」「豚毛刷毛2本」「アセトン」「パーメック」「攪拌棒」「製品用白ゲルコート」「樹脂パテ」「製品用樹脂」「ガラスマット2P分」「エアーブローガン」「コンプレッサー1馬力以上」「から研ぎペーパー120〜240番」「プラスチックハンマー」「マイナスドライバー」「ポリ容器2L」「ベロペット」(スポイトです)「はさみ」

29 固形ワックスをかけては拭き取り5回。
30 ポリビワックス1回塗布。
31 乾燥。
32 製品用ゲルコート白(1KG缶表示名)、NC−19014P白(石油缶表示名)にパーメック1.0%、アセトン20%希釈をゲルコートガンにて塗布。(刷毛塗りはできません。)

wコート2〜3回塗り。端面は3回〜4回。
ガンはアネスト岩田W−773G(上カップの重力式ガン)と400ccカップの組み合わせで、部品交換やゲル吹き、洗浄時のアセトン量も経済的に済みます。セット¥15,000
ポリエステルゲルコートは厚みムラがあると塗布した時点では解りませんが、ガラスマットの積層が終え、乾燥硬化後、脱型した製品の白ゲルコートが波を打ったように縮れます。
角や平面も同じ厚みで塗布できないと発熱条件が場所によって異なるので薄くなっている所が引っぱられて、縮れ事故になります。
ポリエステルゲルコートは70ミクロンくらいと言いますが、私の感覚では0.2mm〜0.4mmにしないと駄目だと思います。
塗料をガンで塗る感覚では無く、ベタベタのせる感覚です。(もちろんゆず肌になります)
又、塗布するガン口径が1.5mmだとしたらアセトン30%で5回は塗り込むようにしてください。

33

乾燥 一昼夜(12h)気温5℃以下では20℃〜25℃の室温が必要。
一晩中暖めるのではなく、塗布後1〜2時間程暖めれば後は自己発熱で硬化します。
触ってツルンとしていれば大丈夫と思いますが、谷部分は乾燥が悪いので温風が当たるよう扇風機など使用してください。

34 製品積層
一般スポイラーの積層はガラスマット2P(1.5MM)ですが、製品の形状によっては部分的に3枚〜5枚をします。
製品樹脂(1kg缶、4kg缶表示)(S−517は石油缶表示名)
35 メス型の時と違い、最初から2枚貼ります。
36 各部分のガラスマットの裁断
37

製品用樹脂2kgくらいを別ポリ容器等に移し、ベロペットで20ccを計量し、添加、攪拌。

38

「樹脂パテ」拳大に2〜3ccのパーメックを添加、良く混ぜ合わせる。

39 豚毛刷毛でピン角にすり込む。
40

ピン角にすり込んだ樹脂パテを避けるようにして(37)で用意してある樹脂をローラーで全体に塗布。

41 各部分に裁断してあるガラスマット1枚を貼り付ける。
42 十分に塗布する。
43 2枚目を積層。
44

鉄ネジローラーで脱泡。

45 製品積層完了。
46 乾燥
47 脱型  製品の脱型は型の脱型よりも楽にはがれます。
48 バリカット
49 裏面のバリもペーパーで取る。
50 エアーブロー
51

完了\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)

「何個も製品を作る場合は」

52 メス型の表面を水ぞうきんにてポリビのぬめりが無くなるよう拭き取る。
53 ボンリースワックス3回
54 ポリビ 1回
55 (32)〜(52)作業
56 3個目〜5個まではメス型に固形ワックスが浸透するまでに製品ゲル等が張り付かないためにポリビを使います。
6個目からは固形ワックスのみで製品ゲルコートが塗布できポリビは省略できます。